内容証明郵便とは、いつ、だれが、だれに、どんな内容の手紙を出したかということを、郵便
局という公的な機関が証明してくれるというものです。 さらに、配達証明をつければ、相手にい つ配達されたのかも証明してくれます。
内容証明郵便の文書には、郵便局長名で、「受付けました」という証明文と、日付の入ったス
タンプが押されます。この日付がいわゆる「確定日付」で、クーリングオフなどの日付の起算点 になるわけで、大変重要な意味を持ちます。
この内容証明を送ることによって、「何年何月何日に〜〜を通知した」ということが証明され、
言った言わないの水掛け論を防ぐことができます。また、のちのちに裁判に発展した場合に、 証拠として、大変利用価値の高いものとなります。
ぶっちゃけた話、内容証明郵便とは、タダの手紙です。法的拘束力はありません。郵便局
が、そういった内容の手紙を相手に送ったということを、証明してくれるというだけです。
にも拘わらず、内容証明を出すことには、大きな意味があります。まずそれは、相手に心理
的プレッシャーを与えることができるということです。相手に対して、自分は本気であるというこ とを分からせることができます。
たとえば、「本書面到着後10日以内に誠意ある回答をいただけない場合は、法的手段も辞
さない所存であることを申し添えます」などと書いてある。さらに文末には、「文書作成人 行政 書士 福本 健一」と、法律家の名前と職印があったとします。
受取った相手は、穏やかな気持ちでいられるはずがありません。今まで、ノラリクラリとはぐら
かしてきた相手も、本気にならざるをえないでしょう。
前述のように、裁判になった場合も、重要な証拠になります。これを普通郵便で出している
と、「そんな手紙受取っていないよ」と言われれば、それを証明する手立てはありません。
内容証明郵便というのは、相手に相当なプレッシャーを与えるもので、いわば宣戦布告のよ
うなものです。ですから、その後の人間関係は通常のものでなくなることを前提にしてください。
そういう覚悟が必要です。
また、相手方に誠意があるのに、内容証明を出してしまいますと、まとまる話もまとまらなくな
るということも考えられます。その点、対応には慎重さを欠かさないでください。
率直に言って、何を書いてもOKです。ただし、せっかく内容証明で出すのだから、自分の主
張が最大限相手に伝わるようなものを書くことが肝要です。もちろん、法律的な内容を随所に ちりばめることも必要でしょう。
それから、内容証明郵便は、自分の不利な事も証拠になってしまうで、自分の弱みは書かな
いことです。また、使う言葉に注意しないと、名誉毀損や恐喝、脅迫で逆に訴えられることもあ りますから、注意してください。
さて、内容証明郵便にタイトルをつけるかどうかは自由です。仮につける場合は、「通告書」・
「通知書」・「警告書」・「請求書」・「回答書」などと、内容証明郵便の意図がはっきりするように しておくのが良いでしょう。
この内容証明ですが、 自分で書くのもいいでしょう。ただ、法律のことがよくわからない場合
はもちろん、相手に大きなプレッシャーを与えるという意味では、専門家に頼むというのも問題 解決への早道だといます。
1)紙の種類は?
どんな紙に、書いてもOK。大きさも自由です。
2)同じものを3通作ります。
1通は相手用、1通は自分用、もう1通は郵便局の控えです。1通を作成して、コピーをするこ
と、早くて簡単です。ワープロ・パソコンで作るのもOKです。
3)書式は?
1行20文字以内、1枚26行以内です。「以内」なので、その範囲内なら、文字・行ともにいく
つでもOKです。また、縦書き・横書きともに自由です。句読点は1文字として数えます。
ワープロ・パソコンで作成する場合は、禁則処理を設定し、1行を19文字にすると、ちょうど
良くなります。
文面が二枚以上になる場合は、ホチキスで留め、つなぎ目に契印を押します。
4)使用可能な文字は?
ひらがな、カタカナ、漢字、数字です。ローマ字は、固有名詞(会社名商品名など)にだけ使え
ます。句読点(。 、)、カッコ(「」 ( ) )、一般的な記号( ・ + %など)は使えます。 1文 字として計算します。度量衡文字(s・pなど)は、カタカナで表示するか、2文字で数えたほう が無難です。
5)差出人、受取人の書き方?
内容証明郵便の文末に、作成(発送)年月日、差出人(自分)の住所と氏名、受取人の住所
と氏名を書きます。印鑑は必須ではありませんが、押したほうがよいでしょう(認印でOK)。差 出人の氏名の横に押します。
「差出人-受取人」「通知人-被通知人」というような肩書きをつけるのかは自由です。受取人
には「殿」や「様」をつけます。
6)封筒は?
封筒は定型のもので構いません。このとき注意せねばならないのは、受取人・差出人の住
所・氏名は、内容証明郵便の文章中のものと、一字一句同じにしてください。違うと受け付けて もらえません。その封筒を、封をしないで郵便局に持って行きます。
7)同封は?
領収書・診断書などの資料は、同封できません。これは、別途、普通郵便などで送るといい
でしょう。このとき、内容証明郵便の文中に、資料を別の郵便で送る旨を書いておきましょう。
1)郵便局はどこでもいいのか?
内容証明郵便は、出張所のような小さなところでは、扱っておりません。大きな郵便局(集配
局・本局)などだけです。これは、予め電話で聞いておくといいでしょう。取扱時間も、局によっ てまちまちです。中には、24時間やっているところもあります。急ぎのときは、そういう局を利 用しましょう。
2)持参するものは?
・内容証明郵便の文書を3通(同一のもの)
・封筒一通(封をしないこと)
・念のため印鑑(内容証明に押したのと同じもの。郵便局で訂正を求められたとき用。)
・郵送代(配達証明をつけると、1枚で1260円、1枚増えるごとに250円増。
速達も可で270円プラス。)
1)内容証明の受取拒否
内容証明郵便を受取拒否されても、相手に意思表示は伝わったとみなす判例があります。
よって、通知の法的な効果はしっかりと生じると考えてよいでしょう。また、受取拒否ということ は、宛先不明ということではないので、少なくとも相手はその住所地に住んでいるということで す。
2)住所不明の場合
住所不明の場合は、公示送達の方法で裁判を起こし、欠席判決が出るのを待ったほうが、
内容証明の公示送達を申し立てるよりも、早いことが多いと言えます。
3)相手が内容証明を取りに来ない
内容証明郵便は書留ですので、受け取る際は、相手のハンコが必要です。相手が留守です
と、「1週間以内に受け取りに来てください」という郵便局の通知書を、相手が受け取る事にな ります。
この段階で、誰からの内容証明郵便かが解るので、相手にしてみれば、自分に不利な内容
が書いてあることが予想されるので、受け取りに来ないことが、往々にしてあります。
1週間経って取りに来なければ、受取人に返送されてしまいます。
その内容証明郵便を、もう一度普通郵便で送るのも一つの手です。また、初めの内容証明
を送る際に、普通郵便でも同文を送っておくのもいいでしょう。もちろん、内容証明郵便の文中
に、「本日同文を普通郵便で発送しました」の一文を入れておきます。
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